iVene’s diary

世界のクワガタ観察日記

ミヤシタオニクワガタの色々

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ミャンマー北部のPrismognathus miyashitai fukinukii Nagai, 2000:ミヤシタオニクワガタ・ミャンマー亜種。ミャンマー産は完全長歯型が極稀に現れる※見聞きした分だけでも10頭前後あるかないか。此の分類群は雲南西端にも分布があるが雲南側で完全長歯型が見つかっているという報は未だ無い。"ミャンマーのフキヌキオニクワガタとミヤシタオニクワガタは同産地内の別種"という椿説もあったが亜種内変異だった。原亜種とは顎の基部内歯の長さと体長の比率・腹面の模様などに区別点がある)

 ミヤシタオニクワガタは情報があまり流れてこない。

 原亜種はベトナム北部に分布し完全長歯型は未知。

 ミャンマーに別亜種がいて完全長歯型が出る。

 チベットからも見つかっていて其処の個体群は完全長歯型が出やすい。

 インド・アルナーチャル・プラデーシュ州の一部エリアからも見つかっている。

 高標高に局在する種のようである。

 ミャンマー産やチベット産は生体が扱われた事もあるが、飼育で累代されたという話は現在未だ無い。

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(大きく4エリア分が揃う。細かいエリアに分けると7エリア分。産地的には8~9エリア以上ある。色々観察してみると「なるほどねー」と感嘆する。局在している分布域ではオニクワにしては割合個体数の多い種だが、画像にあるみたいに沢山揃えようとするのは難易度が高そう)

 今後に近縁な新顔が出てくる事を見越し、また場所柄将来性が見通し不透明な産地のものもいるので多数の個体群をキープした。資料は揃えておくと未だ見ぬ新顔との比較がしやすい。

 交尾器形態は地域変異があり、分類群単位のグルーピングをするための比較には沢山の個体数が必須で、小型個体等は判別が難しい事もある。

 とりあえず私にとっては生物種分類学的に最も面白い種のヒトツ。

【Reference】

Nagai, S. 2000. Notes on some SE Asian Stag-beetles (Coleoptera, Lucanidae) with
descriptions of several new taxa. Gekkan-Mushi, 356, p. 2 - 9